この記事の要点
- GTM戦略(Go-To-Market戦略)とは、新しい商品・サービスを市場に投入する際に「誰に・どこで・どう届けるか」を計画する戦略のことです
- 継続的な活動を扱うマーケティング戦略とは異なり、ローンチ前後の限られた期間(3〜18ヶ月程度)に特化している点が大きな違いです
- 核心は「誰に・どこで・どう売るか」の3要素を、この順番で設計すること
- よくある失敗は、「誰に」が曖昧なままチャネルへの投資に走ってしまうことです
- 本記事を読めば、自社で使える5つの策定ステップと、避けるべき失敗パターンが分かります
「GTM戦略」という言葉を、海外の記事や書籍、あるいは上司との会話で耳にしたけれど、自分たちが普段使っている「マーケティング戦略」と何が違うのか、うまく説明できない。そんな方に向けてこの記事を書きました。
GTM戦略は、新しい商品やサービスを市場に投入するときに使われる考え方です。この記事では、GTM戦略の意味と日本語訳、マーケティング戦略との違い、実際の策定手順までを整理します。読み終える頃には、この言葉を自分の言葉で説明でき、自社のローンチ計画に応用できる状態を目指します。
麻生 諒也株式会社ウォーカンド 代表取締役
学生時代よりSEO・SNS事業を立ち上げ、個人事業主としてマーケティング領域に従事。個人と並行し、新卒でWEB広告代理店に入社。ブランド領域の広告プランナーとして、提案から運用まで一気通貫で担当する。同領域にて準MVP、MVPを受賞し、独立。2025年、株式会社ウォーカンドを設立。
1. GTM戦略とは?定義と日本語訳
GTM戦略(Go-To-Market戦略)とは、新しい商品・サービスを市場に投入する際に、「誰に」「どのチャネルで」「どのように届けるか」を計画する戦略のことです。
日本語訳は、記事によって「市場進出戦略」「市場投入戦略」など表記が分かれており、まだ統一された定訳があるわけではありません。そのため、「GTM戦略」とアルファベットのまま使われることが多いのが実情です。日本語訳の違いに戸惑う必要はなく、どちらも同じ概念を指していると理解しておけば十分です。
2. なぜGTM戦略が重要なのか
新規事業や新商品の立ち上げでは、「広告を出すべきか」「営業を強化すべきか」といった手段の話から入ってしまいがちです。しかし、手段から考え始めると、リソースが分散し、何が効果的だったのか分からないまま予算だけが減っていく、という失敗につながります。
GTM戦略は、この「手段から入ってしまう」失敗を防ぐための考え方です。市場に出る前に、誰に届けるか、どこで届けるか、どう届けるかを順番に決めておくことで、立ち上げ初期の判断のブレを減らせます。
3. GTM戦略とマーケティング戦略の違い
ここが最も混同されやすいポイントです。両者は対立するものではなく、扱う範囲と時間軸が異なります。
図|3つの戦略の階層関係
GTM戦略は、事業戦略を市場参入の意思決定に翻訳し、マーケティング戦略へとバトンを渡す「接続役」です
つまり、GTM戦略は「ローンチ前後の限られた期間」に特化した計画であるのに対し、マーケティング戦略は「その後も続く、継続的な活動全体」を指します。GTM戦略で「誰に・どこで・どう届けるか」の骨子を固め、そのうえで継続的なマーケティング戦略へとバトンを渡していく、という関係性で理解するとシンプルです。
「GTM戦略とマーケティング戦略、どちらから手をつければいいか分からない」という声もよく聞きます。Walkandでは、新規事業・新商品の立ち上げに合わせたGTM戦略の設計から、その後のマーケティング戦略への橋渡しまで、あわせてご相談いただけます。
マーケティングの課題、抱えていませんか?
ウォーカンドでは戦略設計から実行・改善まで一気通貫で支援しています。
4. GTM戦略に含まれる主要な要素
GTM戦略を考えるときに整理すべき要素は、大きく3つに集約されます。
①
誰に
ターゲット顧客を
具体的に絞り込む
②
どこで
届けるチャネルを
1〜2つに絞る
③
どう売るか
提供価値と価格を
言い切る
①→②→③の順番が重要です。「誰に」が固まらないまま②③に進むと、後戻りのコストが膨らみます。
誰に(ターゲット)
自社の商品・サービスが最も価値を発揮する顧客像を明確にします。立ち上げ初期は、対象を広げすぎず、狭く具体的な顧客像に絞り込むことが重要です。誰にでも刺さるメッセージを目指すと、結果的に誰にも刺さらなくなります。
どこで(チャネル)
ターゲットが日常的に接している場所・媒体はどこかを考え、届ける経路を選びます。SNS広告、SEO、営業、展示会など選択肢は多くありますが、初期段階では1〜2つのチャネルに絞って集中投資するのが基本です。複数のチャネルに同時投資すると、何が効果的だったのか判断がつかなくなります。
どう売るか(提供価値と価格)
競合と比べて、自社が選ばれる理由を明確にします。「誰のどんな課題を、どう解決するのか」を一言で言えるようにすることがポイントです。また、価格設計や、購入のハードルを下げる初回オファー(無料トライアルや初回割引など)もここに含まれます。
5. GTM戦略の策定手順
GTM戦略は、以下の5つのステップで組み立てます。
ステップ1:市場と顧客課題を定義する
どんな市場を狙うのか、その市場で顧客がどんな課題を抱えているのかを明確にします。
ステップ2:ターゲット顧客を具体化する
「誰に届けるか」を、業界・規模・役職(BtoBの場合)や、年齢・ライフスタイル(BtoCの場合)といった具体的な条件まで落とし込みます。可能であれば、想定顧客に直接話を聞き、仮説を検証しておくと精度が上がります。
ステップ3:提供価値とメッセージを整理する
競合との違いを、顧客の言葉で一言に言い切れるようにします。
ステップ4:チャネルと届け方を決める
狙うべきチャネルを1〜2つに絞り込みます。
ステップ5:目標(KPI)を設定する
3ヶ月後、6ヶ月後に何を達成していたいかを数値で決めておきます。うまくいかなかった場合に、どこで方針転換するかの基準もあわせて決めておくと、感覚的な判断を避けられます。
5つのステップは分かっても、実際に自社の数字を当てはめて考えるのは簡単ではありません。Walkandでは、貴社の事業フェーズに合わせたGTM戦略の設計を、無料相談から承っています。
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6. GTM戦略の評価指標
GTM戦略がうまくいっているかどうかは、立ち上げの段階によって見るべき指標が変わります。
図|段階が進むにつれて、見るべき指標は変わる
立ち上げ直後
リード数
商談化率
軌道に乗り始めた頃
受注率
顧客獲得コスト
安定運用フェーズ
継続率
解約率
立ち上げ直後から解約率のような後の指標ばかりを追っても実態は見えません。今どの段階にいるかに応じて、見る指標を切り替えることが大切です。
7. GTM戦略のよくある失敗
新規事業・新商品の立ち上げでよく見られる失敗には、共通したパターンがあります。
こんな進め方をしていませんか?
✕ 複数のチャネルに同時に手を広げている
✕ 目標(KPI)を決めずに走り始めている
- ターゲットが曖昧なまま、チャネルへの投資を始めてしまう:「誰に」が固まっていないと、どのチャネルを選んでも効果が測定できません
- 複数のチャネルに同時に手を広げすぎる:投資が分散し、何が効いたのか分からなくなります
- 目標(KPI)を決めずに走り始めてしまう:うまくいっているかどうかの判断基準がなく、いつまでも同じ施策を続けてしまいます
いずれも、「誰に」を最初にしっかり固めることと、途中で立ち止まって振り返る基準を先に決めておくことで防げます。
8. まとめ
GTM戦略は、新しい商品・サービスを市場に投入する際の「誰に・どこで・どう届けるか」を計画する戦略です。継続的な活動を扱うマーケティング戦略とは違い、ローンチ前後の限られた期間に特化している点が大きな違いでした。
まずは、自社の新商品・新規事業について、「誰に」「どこで」「どう売るか」の3つを、それぞれ一言で書き出してみてください。それだけで、今の計画にどこか曖昧な部分がないか、確認する第一歩になります。
マーケティングの課題、抱えていませんか?
ウォーカンドでは戦略設計から実行・改善まで一気通貫で支援しています。
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9. よくある質問
GTM戦略はどれくらいの期間で作るべきですか?
完璧を目指すより、まずは大枠を数週間程度で組み立て、顧客の反応を見ながら更新していく進め方が現実的です。
GTM戦略はBtoBとBtoCで違いますか?
「誰に・どこで・どう売るか」という基本の考え方は共通していますが、BtoBは意思決定に関わる人が複数いて検討期間が長くなりやすく、BtoCはSNSや広告など、より直接的な購買経路の設計が中心になる違いがあります。
スタートアップの初期段階でもGTM戦略は必要ですか?
必要です。リソースが限られている段階ほど、どこに力を入れるかを絞り込む判断が、その後の結果を大きく左右します。
GTM戦略のテンプレートはありますか?
書籍やコンサルティング会社が公開しているテンプレートはありますが、自社の商品・市場・体制に合わせた調整が必須です。テンプレートを埋めること自体を目的にせず、あくまで検討のたたき台として使うことをおすすめします。
GTM戦略とマーケティング戦略は同時に作るべきですか?
基本的には、GTM戦略で「誰に・どこで・どう売るか」を先に固め、そのうえでマーケティング戦略に落とし込む順番が推奨されます。並行して議論すること自体は問題ありませんが、最終的な骨子はGTM戦略から先に固めるとスムーズです。










