この記事の要点
- ゼロパーティデータとは、顧客が企業に対して自ら意図的に提供する情報(好み・購入意向・アンケート回答など)のこと
- ファーストパーティデータとの違いは「行動から企業が読み取ったか」「本人が自ら答えたか」という一点に尽きます
- 2026年時点でCookie規制の状況は複雑で、単純な「Cookie廃止だから重要」という説明は正確ではありません
- 収集はクイズ・診断、会員登録の設問、アンケートなどで行え、中小企業でも小さく始められます 収集には利用目的の明示と本人同意が必須。透明性のある運用が信頼につながります
「ファーストパーティデータ」について調べているうちに、「ゼロパーティデータ」という似た言葉に出会って混乱した。そんな方は少なくないはずです。数字が0と1で、名前も紛らわしい。この記事では、両者の違いを中心に、ゼロパーティデータの定義から収集・活用方法、注意点までを整理します。
麻生 諒也株式会社ウォーカンド 代表取締役
学生時代よりSEO・SNS事業を立ち上げ、個人事業主としてマーケティング領域に従事。個人と並行し、新卒でWEB広告代理店に入社。ブランド領域の広告プランナーとして、提案から運用まで一気通貫で担当する。同領域にて準MVP、MVPを受賞し、独立。2025年、株式会社ウォーカンドを設立。
1. ゼロパーティデータとは?意味を一言で
ゼロパーティデータとは、顧客が企業に対して意図的かつ能動的に共有する情報のことです。好み、購入意向、属性、アンケート回答などが該当します。米調査会社Forrester Researchが2018年に提唱したとされる概念で、ユーザー自身の同意と自発的な提供が前提になっている点が最大の特徴です。企業が行動データから推測したものではなく、ユーザーが「私はこれが好きです」と自ら手を挙げて渡してくれる情報、というのが本質です。
具体例を業種別に挙げると、ECアパレルなら好きなテイストや普段のサイズ・予算帯を聞く設問、美容・化粧品なら肌質診断、BtoBなら資料請求フォームでの「現在抱えている課題」ヒアリングなどが該当します。共通するのは、ユーザーが質問に対して自分の意思で答えた情報だという点です。
なぜ「ゼロパーティ」と呼ばれるのかというと、企業とユーザーの間に第三者が介在せず、ユーザー自身が直接・自発的に提供する、最も一次に近いデータだからです。ファーストパーティ(一番手)よりさらに手前という意味で「ゼロ」と名付けられました。
2. ゼロパーティデータとファーストパーティデータの違い
ここが最も混同されやすいポイントです。判断軸はシンプルで、「ユーザーが意図的に提供したかどうか」です。
ユーザーが質問に答えて
能動的に渡す情報
ユーザーの行動から
企業が自動的に取得する情報
混同しやすいのがメルマガ登録時の属性入力です。フォームに年齢や興味を「自分で入力」したならゼロパーティ寄り。一方、登録後のメール開封率やクリックといった「行動の記録」はファーストパーティです。同じ会員データでも、意図的な申告なのか行動の観測なのかで分類が変わる、と覚えておくと混乱しません。
4種類のデータを一覧で比較すると、次のようになります。
どちらか一方を選ぶというより、目的で使い分けるのが実務的な考え方です。「好み」はゼロパーティで直接聞き、「実際にどう行動したか」はファーストパーティで捉える。両方を組み合わせることで、顧客像がより立体的に見えてきます。ファーストパーティデータの詳しい解説は[ファーストパーティデータとは?]も参考にしてください。
3. なぜ今ゼロパーティデータが注目されているのか?【2026年時点の正確な状況】
「サードパーティCookieが廃止されるから、ゼロパーティデータが重要」という説明をよく見かけますが、この前提はやや不正確です。2026年時点の状況を整理すると、実は複雑です。
それでも、ゼロパーティデータへの関心が高まっている理由は他にもあります。1つは、AppleのATT(App Tracking Transparency)のように、Cookie以外の追跡制限が現に進んでいること。もう1つは、改正個人情報保護法やGDPRといった法規制が、Cookieの技術的な状況とは別軸で同意取得の厳格化を求め続けていることです。そしてもう1つ、規制対応を抜きにしても、本人が直接答えてくれる情報は単純に精度が高く、施策の的中率が上がるという実利があります。「Cookieが終わるから」という単一の理由ではなく、複数の要因が重なって重要性が増している、というのが正確な理解です。
「うちの場合、結局どこまで対応が必要なのか」の判断がつかない方は、まずは相談だけでも構いません。現状の整理からお付き合いします。
マーケティングの課題、抱えていませんか?
ウォーカンドでは戦略設計から実行・改善まで一気通貫で支援しています。
4. ゼロパーティデータの活用方法とメリット
大きなメリットは、精度が高くパーソナライズに直結すること、同意済みで法的リスクが低いこと、顧客との信頼関係を築けることの3つです。
活用の軸は、パーソナライズ・レコメンドとセグメント配信です。たとえば診断で「敏感肌」と答えたユーザーには、敏感肌向け商品を優先表示する。予算帯を答えたユーザーには、その価格帯の商品だけを並べる。BtoBであれば、フォームで「導入時期は3ヶ月以内」と答えたリードに、事例や見積り案内を優先的に届ける、といった使い方です。感覚ではなく本人の申告にもとづいて施策を打てる点が、他のデータにはない価値です。
5. ゼロパーティデータの集め方(概要)
代表的な収集方法は、診断・クイズなどのインタラクティブ施策、会員登録やアンケートの設問、プリファレンスセンター(配信頻度やカテゴリを自分で選べる設定画面)の3つです。共通する成功のカギは、ユーザーに「提供する価値」を明示すること。答える理由がなければ、人は情報を渡しません。
コツは設問を絞ることです。登録フォームで一度に10項目も聞けば離脱を招きます。まず必須の2〜3項目だけ聞き、後から少しずつ追加していく進め方が有効です。クーポンや限定コンテンツなど、データ提供に対する見返りを用意すると回答率が大きく上がります。
6. ゼロパーティデータ収集で注意すべき法律・プライバシーのポイント
収集には利用目的の明示と本人同意が必須です。改正個人情報保護法やGDPRを踏まえ、データの取得目的・保管・第三者提供を透明にする必要があります。
実務では、フォーム付近に利用目的を平易な言葉で記載しているか、同意チェックボックスを事前チェック済みにしていないか(能動的に選ばせる)、取得する項目と目的が対応しているか、といった点をチェックしておくと安心です。必要以上のデータを求めない、いつでも設定変更・削除できるようにするなど、透明性と選択権を保つことが長期的な信頼につながります。
自社だけで設計から法務面の整備まで進めるのは負担が大きいものです。何から手をつければいいか分からない、という段階でも大丈夫です。まずは話を聞かせてください。
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7. まとめ:2つの言葉を正確に区別して、身の丈に合った一歩を
ゼロパーティデータとファーストパーティデータは、名前も似ていて混同しやすいものの、「本人が意図的に答えたか」「行動から企業が読み取ったか」という一点で明確に区別できます。要点を整理します。
- ゼロパーティデータは、顧客が自ら意図的に提供する情報。ファーストパーティデータは行動から企業が取得する情報
- 「Cookie廃止だから重要」という単純な理由ではなく、複数の要因(ATTなどの追跡制限、法規制、精度の高さ)が重なって注目されている
- 収集は診断・クイズ、会員設問、プリファレンスセンターなどで、中小企業でも小さく始められる
- 収集には利用目的の明示と本人同意が必須
まずは自社サイトの会員フォームや、簡単な診断コンテンツから小さく始めてみてください。「うちの場合はどこから手をつければいいか」を一度整理したいだけでも構いません。Walk&は中小企業・スタートアップの一員として、データ戦略の整理から実装まで伴走します。
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8. よくある質問
ゼロパーティデータとファーストパーティデータはどちらが重要ですか?
どちらも重要で、補完関係にあります。ゼロパーティは本人の意図的な申告で精度が高く、ファーストは行動の記録で実態を捉えられます。好みはゼロパーティで聞き、実際の反応はファーストパーティで測る、というように目的で使い分けるのが理想です。
ゼロパーティデータの収集に費用はかかりますか?
ノーコードの診断ツールやフォーム作成サービスを使えば、低コストから始められます。月額数千円程度のツールで診断やアンケートを実装できるため、大きな初期投資は不要です。
BtoB企業でもゼロパーティデータは使えますか?
有効に使えます。資料請求フォームでの課題ヒアリング、ウェビナー申込時のアンケート、導入検討時期の設問などが代表例です。本人が申告した課題や検討状況をもとにセグメントを分ければ、ナーチャリングや商談化の効率が上がります。
ゼロパーティデータはサードパーティCookie廃止の完全な代替になりますか?
単独で完全な代替になるわけではありません。また、前提として2026年現在Google Chromeはサードパーティ Cookieの一律廃止を撤回しており、Cookie自体はまだ使える状態です。ただし規制の動向にかかわらず、ファーストパーティデータと組み合わせれば、既存顧客の理解と関係構築において精度の高い運用が可能になります。
収集したデータの精度を保つにはどうすればいいですか?
プリファレンスセンターを用意し、ユーザー自身に定期的な更新を促すのが効果的です。人の好みやライフステージは変わるため、一度集めた情報も時間とともに古くなります。設定を自分で変えられる仕組みがあれば、鮮度の高い状態を保てます。










